値引きと自己承認

もしあなたが会社員で、「来月から給料を1万円減らします。」と言われたら、どう思うでしょうか。「ふざけるな。仕事内容のどこに問題があったというのか。」と怒りが湧いてくるのではないでしょうか。その根底には、「報酬金額は、仕事の質によって決まる」という前提があるからです。

僕が開業した直後、お客様からの「先生、1万円値引きして。」などの値引き交渉が、すごく嫌でした。「あなたは新人だから、仕事の質が劣るでしょ。報酬金額を下げるべきじゃないかしら。」と言っているように聞こえたからです。

現在は、自分の仕事に自信を持っており、「安易に値引き交渉に応じることは、値引きせずに定価で依頼してくれたお客様に損をさせたことになる。と考えているので、値引き交渉には応じません。

「値引き」に対する考え方は、もちろん個人差が大きいですが、国によって少し傾向が違います。中国のお客様の値引き交渉は、本当にビジネスで、相見積もりを取って、値引き交渉をして、最安値の相手に依頼する傾向があります。僕が値引き交渉に応じなければ、他の安い事務所に依頼するだけなので、全く問題ありません。

ところが、フィリピンやベトナムのお客様は、値引きを拒否すると、なんだか悲しそうな顔をするのです。だんだん分かってきたのは、彼らが値引き交渉する目的は「お金」はもちろんですが、同時に「自己承認」を求めているのではないかということです。「ちょっと安くしてよ~」「しょうがねえなあ、今回だけだぞ!」という関係性、「自分の要求を聞いてもらえた」という幸福感を求めているのではないかと。それに気づいてからは、値引き交渉に応じない代わりに、「あなたの申請書類を最優先で準備するね。」とか、「オプション料金(翻訳や戸籍謄本の代理取得など)を無料にしてあげるね。(※結局値引きですが。)とか、なるべく相手を立てるような言い方を心掛けています。

執筆者:行政書士 杉田 誠

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